「他者の感情に敏感である」という大人のギフテッドの特徴について記載されている文献を紹介します。
著者:Deirdre V. Lovecky
大人のギフテッドの特徴として、「他者の感情に敏感である」という性質が紹介されています。このような人達は、社会においては他人に深く関わろうとし、社会問題にも深く関与しようとします。他者との一体感を感じ、宇宙や全世界と一体感を持つほどの人もいます。また高度な道徳観念を持ち合わせます。ネガティブな面もあり、関心度の違いが他者と摩擦を引き起こしてしまうようです。このような人たちは、「他人からの拒絶に面したときにでも人を気遣い続けることや、一緒に苦しまずに人に同情・共感できるよう感情の敏感さを和らげる」ということを学ぶ必要があるとのことです。
以下、引用です。
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他者の感情に敏感である事。
他者と一体化する感覚を覚えるほどの感情の深さというのが「他者の感情に敏感である人」の特徴である。ギフテッドの人々は深い愛情を作り出し、さまざまな場面において人々の感情や気分に対して反応する。彼らは感情を使って思考する。高度に他者の感情に敏感な人々は他の人々に深く関わり、また社会問題にも深く関与する。ときに彼らは非常に熱心に一心不乱になって献身的に行動する。詩人、調査報道記者、平和部隊員、政治的・宗教的指導者は「他者の感情に敏感な」ギフテッドである事がよくある。アシジの聖フランシスコ、エリザベス・ブラックウェル、エミリー・ディキンソン、ガンジー、マーチン・ルーサーキング、ヴァージニア・ウルフなどがこのような人々の例である。
他者の感情に敏感という特質を持つギフテッドは、「他者のニーズ・権利に深い関心を持つということは有益である」と考える。同様に、他者の感情に共感することや自分を犠牲にしてでも人助けすることを有益なことと思っている。このようなギフテッドの大人はさまざまな場面で人の感情・気分を非常によく把握しており、また周囲環境の色彩や明暗なども感覚的によく感じている。彼らは自分の短所も把握している事がよくある。ギフテッドの大人には宇宙との一体感を感じる人がいる。自分と全世界が一体化しているように感じるのである。他者の感情に敏感という特質を持つギフテッドの大人は、高度な道徳観念を持つ傾向があり「他者にとって正当なものを与え正当な事を為す」ということに関心を持つ。
ネガティブな面について言えばこのようなギフテッドアダルトは、他人はそれほど深く熱心に考えているわけではなくまた何を優先するかは人それぞれ違うものである、ということを理解していない。彼らは、低い志しか持たないような人のことが我慢ならないのである。
他者の感情に敏感という特質を持つギフテッドは、あまりに感情移入し過ぎるので他人はそのようなギフテッドに同調するのをためらう。実際、このような大人のギフテッドは当事者よりも強く苦痛を感じるので、その事によって「感情を盗まれた」と感じる人もいる。このようなギフテッドの大人は、「他者の感情に敏感という特質を保ちつつ自分のもろいところを守る」ということを学ばないといけない。他人からの拒絶に面したときにでも人を気遣い続けることや、一緒に苦しまずに人に同情・共感できるよう感情の敏感さを和らげる、といったことも学ばなければいけない。彼らは花が歌うのを聴き、全世界との一体感を感じ、そして他の全ての人々にも同じようにその歌を聴いてほしいと思うのである。
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著者:Deirdre V. Lovecky
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1986年にJournal of Counseling and Developmentという雑誌に掲載された記事をSENGが再掲載したものです。
大人のギフテッドについての論文ですね。
この論文では、ギフテッドアダルトの5つの性質が紹介されています。その5つとはDivergency(周囲と違う考えを持つ)、Excitability(興奮しやすい性質)、Sensitivity(他者の感情に敏感である事)、Perceptivity(知覚する力)、Entelechy(活力)です。
sensitivityは「敏感さ」という意味ですが、ここでは感情的に敏感であるという意味で使われています。感情性の過度激動のことを書いているのでしょう。(この論文の最初の方に、ドンブロフスキーの過度激動について触れられています。感情性の過度激動のことはこの時代でもすでに知れ渡っていたようです。)この論文の特徴はそれが大人のギフテッドにどのように表れるか、大人が社会生活する上でどのように作用するか、大人の社会にどのような影響を及ぼすかなどを記しているということですね。
他者と一体化する感覚を覚えるとのことです。しかも宇宙(the cosmos)と一体化・・・。壮大です。それくらい壮大な共感性を持つ人もいるということのようです。
子供のギフテッドも高い道徳性を持ち、社会問題や社会的正義に関心を寄せることがある、とする記事はよく見ますね。(例えば→ギフテッドの道徳的関心に関する記事の紹介)その延長で、大人になれば社会問題に対して実際に行動する人もいるということでしょうか。子供のころ高い知性を示していた子供は30代になって人種差別に反対する人が多い、という調査結果もあるようです。(→10歳のとき高い知性だったこどもは30歳でリベラルな思想を持つ傾向にある。)
「他者にとって正当ものを与え正当な事を為す」とはなんと道徳的な・・。
ネガティブな面は、他者との違いが原因で対人関係に問題が生じうるということのようですね。自分だけでなく他者にも厳しく、自分と同じような基準を他者に求めてしまうといったこともギフテッド関連の記事でよくみかけますね。完全主義と関連していそうです。
『一緒に苦しまずに人に同情・共感できる』ようになる必要があるとのことです。たしかに他者の苦痛を我が事のようにいちいち受け取っていたら身がもたないでしょうね。しかしそれがあってこその共感性ですから苦痛を感じずに共感するというのは難しそうだなとも思います。
大人のギフテッドも皆がこうではなく、感情性の過度激動を強く持つタイプに限った話かもしれないと思うのですがいかがでしょうか。例えば米国では子供の6%がギフテッド認定を受けているそうですが(→ギフテッド教育についてのよくある質問)そのうち全員が過度激動や完全主義などの心理学的特徴を有しているわけではないように思われます。(私は見たことあるわけでも米国の現地で調査したわけでもありませんので実際に調査してみないと正確なことは言えませんが。)
ところで、久々のブログ更新となりました。最近、更新をサボってツイッターで適当な妄想をつぶやくことに慣れてしまっていて、ブログを書く感覚を忘れてしまっているようです。ツイッターはあれはあれで自分は楽しいのですが。